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聞いた言葉・第154回目、金太郎あめ教育の破綻

金太郎飴(あめ)教育の破綻(はたん)

  今回のこの言葉、我が国の様々な問題発生時いつも言われてきました。近年の分かりやすい例として日本の家電業界の販売不振や経営状態から、また言われているようです。この産業界は、一時期世界のトップみたいに言われていました。しかし、近年アジア諸国勢からの激しい追い上げに、商品別ではその座を明け渡したり、あるいは単年度大幅赤字を出しています。あと、なにも家電業界だけでなく、多くの産業でも似たようなことが起こっているようです。

 そのような状況に何故なってしまったかの要因を述べる場合、またぞろこの”金太郎あめ教育”問題が言われているようです。ただし、現在、魅力あるヒット商品がなく、そのため販売不振や大幅赤字状況を出している要因は、単に教育の件だけでは当然ありませんし、問題は様々あり根深い事項が内包していると考えられます。そのようなことを前提に今回の言葉は、ご覧願いたいとも思っています。まずは、金太郎飴(あめ)の意味からですが、国語辞典の大辞泉には、次の<>内が書いてあります。 金太郎飴=どこを切っても切り口に金太郎の顔が現れる棒状の飴> 

 教育のことは書けば大変長く なります。それでここでは極簡単に言えば義務教育、高校、大学あるいは広義に解釈すれば社会人になってからの例えば企業研修や日常の態勢なども入っているでしょう。 全体通して解釈すれば、”金太郎あめ教育”とは、一般に「個人の能力あるいは個性を伸ばす教育や人づくりではなく、誰でも同じような(画一的な) 人を育てる教育」と言われているようです。

 特に、この没個性の教育は、例えば何年か前に学力世界一で話題になったフィンランドなどでおこなわれている教育方法とは根本的に違うようです。(蛇足ながら、フィンランドの方が日本より授業時間は少ない。つまり、学校の時間が長い、短いだけが学力低下要因ではないようだ。根本原因は別にあると思われる)

 この件は、その当時メディアなどでは盛んに話題になっていました。このページでは、このフィンランドの教育方法は詳細に書きませんが、「フィンランドの教育」、「世界一の学力」などの語句で検索されれば沢山のページが表示されますので、それを参照願います。

 あと、なぜ日本は、”金太郎あめ教育”を長年継続してきたかということですが、これまた簡単に書けるほどの小さなテーマではないと思えます。 ただ、言えるのは根底に「経済界からの求められる教育」の影響も大きいのではないでしょうか。大量生産・大量販売する会社では、 一握りのエリート技術者やマネージメント以外、あとは軍隊式に決まったことを忠実に動く多数の社員がいれば効率が大変良いと言われています。

 確かに、高度経済成長、あるいはヒット商品続出=”昇り調子”の時だけなら、この態勢は無駄がなく、いいように見えます。その影響もあり、色々な産業分野で世界トップシェアーの会社も続出しました。ただし、このようなある意味、狭い発想・思考状態だけで様々な困難な状態に立ち向かうには、あまりにも構えも作戦も限られてくると思われます。さらに近年伸長著しいアジア勢を始め世界相手には、いつまでも日本式やり方だけでは魅力ある商品が開発・販売できなくなったと言うことではないでしょうか。

 つまり、”昇り調子”の時には一見無駄みたいに思えた個性ある人材、あるいは特色ある発想などを取り入れず、無視した結果が、現在の状況を作り出したとも言われているようです。このことは、金太郎飴態勢金太郎あめ教育の破綻とも表現されています。(日本で受け入れられず海外で能力を認められた人も多いことでしょう)かつて日本の家電でも、分かりやすい例として「ウォークマン」などがヒットした当時は、世界から魅力ある商品として認知され定着しました。

 一方、いったん成功したと思える例えば薄型テレビなどは、大画面や高機能化一辺倒みたいなやり方でした。これらは販売当初から、「後で、何十インチかの・・・機能付きのテレビが出るのでは?」と誰でも予想がつくようなものでした。結果として、他社と差をつけるためか、高機能化偏重になり操作ボタンを付け過ぎて、消費者が簡単に使えないようなリモコン付きテレビなどは、その分かりやすい例ではないでしょうか。

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 当然これらだけの問題全てが、”金太郎あめ教育”の反映や影響ではないでしょう。しかし、色々な教育で培われた体質などは、そう簡単には社会に出ても変わらないとも思えます。また、会社自体も昇り調子から下り調子になったからといって、「さあ、直ぐに体質を変えよう」としても、なかなか変わらないと思います。

 結局のところ、「何故こうなってしまったのか」、「何をどう変えていかないといけないのか」、「個性ある人材発掘と育成は、どうすれば良いのか」などを根本から考えないと一層事態は、長年にわたって深刻化するのではないでしょうか。改善方法がない訳ではなく、先に紹介したフィンランドを始めヨーロッパの進んだ例も参考になるのでしょう。

(記:2012年10月22日)
  

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