ログハウスの12か月
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日の出が眩しい頃
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私の丸太小屋付近では、最も日の出がまぶしく感じるのは11月頃だと思います。太陽のことなど良く知らない者がこのようなことを書くのはなんですが、何かしら夏の時季よりも角度的に低い位置から這い上がって来るような気がします。 この時季の太陽は(私のログハウス周辺の場合)琴平岳(334m、長崎県大村市内の山)の裏側から登ってきます。この山の奥にある多良山系の幾重にも重なった尾根伝いには、光のスクリーンを何枚か立て掛けているようにも見えます。改めて太陽を見る習慣などない私ですが、11月からの春までかけて天気さえ良ければ朝は必ず東の妻壁にある窓から、このまぶしい光線を浴びることになります。 また、雲や光線など、その日の変化によっても違いますが、たまに舞台で使われているスポットライトみたいな感じで、光が田んぼをぐるり回りながら照らす時もあり、思わず見とれてしまう朝もあります。 あと、この時期の田んぼは、実りの後の切り株ばかりです。まあ、人で言えば休暇、休息の時期ですが、じゃあ何もしていないかと言えばそうではありません。 この冬の期間に休むことは、次の稲を育てる意味で重要な役割を果たしています。田んぼは、休むことをせずに何かを作り続ければ養分は作物に取られ痩せてしまいます。 農家の方は、稲わら、草、堆肥などを冬の時期には適宜に田んぼにまいておられます。また、中には蓮華草の種をまかれる農家もあります。 実りの後の切り株は、一見何の価値もないように思えますが、この時期微生物の住処にもなっていますし、その微生物を食べる虫たちも育てています。 その証拠に春の田起こしの時季、トラクターで耕せば土の中にいた昆虫が出てくるので、それを目当てにどんな機械音がしていても白鷺(しらさぎ)などの野鳥が近寄って食べに来ています。つまり、この時季に休んでいるように見える田んぼは、表面は見えないながらも次に備えて色々な養分を蓄えているのです。 自然のサイクルは見た目何か無駄な期間や動きがあるようにも見えますが、なかなかどうして何ひとつ役に立たないものはなく、総てうまく動いているのだなあと、つくづく思います。もしも、そうでないことが起こっているとすれば、それは自然に原因があるのではなく、むしろ人間が手を加えているからではないかとも考えられます。(掲載:2005年11月25日) |
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