振り向く景色は あまりに遠い
今回の聞いた言葉は、中島みゆきさんの作品:慕情(ドラマ「やすらぎの郷」主題歌、CDは2017年8月23日発売)の1番の歌詞からです。(注:右下側の画像はアマゾン・サイトの画像より) 念のため、上野作成中の「聞いた言葉シリーズ」は、あくまでも言葉そのものを書いていますので、この楽曲とか、ドラマ「やすらぎの郷」内容を詳細に書いている訳ではありません。
ただし、それらの概要も触れないと、言語明瞭・意味不明になってしまいますので、少しだけですが書いています。ドラマ「やすらぎの郷」とは、倉本聰氏のオリジナル脚本、テレビ朝日制作でシニア向けに2017年4月3日スタートで、毎週月曜〜金曜の昼時間帯のテレビ番組です。詳細は、テレビ朝日のサイト「「やすらぎの郷」を参照願います。
中島みゆきさんは、「日本人名大辞典+Plus」の解説によりますと、下記<>内が書いてあります。
<中島みゆき=1952− 昭和後期-平成時代のシンガーソングライター。 昭和27年2月23日生まれ。昭和50年「アザミ嬢のララバイ」でレコードデビュー,「時代」で世界歌謡祭グランプリを受賞。「わかれうた」「悪女」など失恋をテーマとするヒット曲を生み,ニューミュージック-ブームをまきおこした。平成10年国語審議会委員。14年NHK「プロジェクトX〜挑戦者たち〜」の主題歌でロングヒットとなった「地上の星」で紅白歌合戦初出場。18年芸術選奨文部科学大臣賞,同年「宙船(そらふね)」で日本レコード大賞作詩賞。北海道出身。藤女子大卒。本名は美雪。>
なお、個人的なことながら、中島みゆきさんの誕生年「1952(昭和27)年」は、私と同じ年です。そのようなことから音楽素人の上野でも、大ヒットした曲くらいは当然知っています。その中でも、時代(1975年発売)、悪女(1981年発売)、地上の星(2000年発売)などは、印象深く覚えています。
中島みゆきさんの歌詞は、日本語の持つ美しさ、優しさを全編に詠まれ、さらに曲の方は親しみやすい、繊細なメロディーラインに加え、サビなどでは朗々と訴えるような力強さも感じます。今回紹介の慕情という曲も同様でしょう。そして、私の第一印象ながら、歌詞の1番、2番とも、「うーん」と黙り込むような、聴き惚れるような作品と思いました。
また、中島さんの歌の多くが、その当時の人々や社会現象なども含めて各時代を投影している感さえありました。このように中島さんの作品は、今でも高い評価でしょう。さらに、あと何年何十年後かには、「音楽の分野から日本人に多大なる影響を与えた人」となられるのではないでしょうか。
この慕情の歌詞全体、いずれも良いのは分かっていますし、人によっては他の一節が胸を打つとか、感動的だとおっしゃる方々も多いでしょう。私は、今回本題の、「振り向く景色は あまりに遠い」というフレーズには、ある意味で哲学的な内容ながら、それをサラリと表現されているような気もします。
私は、ささやかながらも自分の経験に置き換えて聴いていました。この歳になると「後悔先に立たず」ですが、「あー、すれば良かった」、「こう言えば良かった」などは、枚挙にいとまがありません。(残念ながら、それは現在進行形で起こってもますが) 特に、若い頃の反省が多いです。しかし、時は無情にも過ぎて、決して後戻りしてくれません。そのようなことから、私は、この慕情の1番の「振り向く景色は あまりに遠い」や、2番の「限りない愚かさ 限りない慕情」のフレーズを聴いた時、過去のことが走馬灯のように巡り、万感胸に迫る想いもしました。
何かの事柄を進める場合、公私別なく何らかの形で「人、物、金」は必要で、さらに「判断力」、「決断力」、「行動力」も不可欠でしょう。私の場合、この中で皆様の助けも借りて、前者は何とかできても、後者の方が悔やまれる場合が数えきれない位ありました。 特に、「判断力・決断力」の方です。それは、今回の歌詞と同じように、「振り向く景色は あまりに遠い」(上野流解釈で「反省する内容は、どんなにやり直したくても手の届かない過去のこと」)と思えます。
老人仲間入りの私でも、当然、子供の時も若い時もありました。その年代では分かりやすく申し上げるならば、今では決して出来ない全力疾走も、一見無茶とも思えることもやってきました。それでも、先に書いています通り、「あー、すれば良かった」、「こう言えば良かった」などは、多々ありました。しかし、それらは今思えば、お金などの物的な障害ではなく、むしろ、ちょっとした自らの「勇気」、あるいは「実行する時期」の決断が足りなかったような気がします。
つまり、外的なハードルや問題ではなく、自分自身の「内的な理由」ということです。もう、可能性はゼロながら、「若い時期に戻り、もう一回やり直しができる」となるならば、たとえ結果として「チャレンジして(やってみて)失敗や泣きをみた」としても、やらずに後悔することだけは避けたいと思っています。
今後、残された年数が何年何十年間あるのか、私には分かりませんが、せめて目標や計画を身の丈に合わせて確実にやっていきたいです。そして、たとえ少々の失敗はあっても「たゆたえど沈まず」との気持ちを持ちつつ、在原業平(ありはらの なりひら)の和歌のように、 「つひにゆく道とはかねて聞きしかど 昨日今日とは思はざりしを」目指したいです。